肺胞蛋白症というと、その特徴的な画像所見や臨床的特徴(いわゆるcrazy-paving patternや米のとぎ汁様の白濁したBALF)のおかげで、有名な疾患ですが、有病率は 100万人に6人とされており、非常に稀と考えられています。
軽症例は、健診で指摘されることもあります。30%程度が無症状とも言われています。重症度Ⅲ-Ⅴに該当する症例で全肺洗浄が必要になると言われており、海外の文献では診断から全肺洗浄に至るまでの期間の中央値は2ヶ月。12ヶ月以内に79%の症例が全肺洗浄を施行した、とあります(Am J Respir Crit Care Med. 2002;166(2):215-35)。一方、本邦でのアンケート調査では自己免疫性肺胞蛋白症 352例(71施設)のうち、80症例(34施設)で全肺洗浄を施行、診断から洗浄までの期間の平均は21.3±24.3ヶ月のようです。当施設でも、ずいぶん昔に肺胞洗浄の経験はあったようですが、残念ながら当時のプロトコールは残っておりませんでした。
今回、新たに全肺洗浄を必要とする患者さんがおられたため、麻酔科の先生方や理学療法士さんの協力を頂きながら、一からプロトコールを作ることとなりました。
また、当日はアドバイザーとして、新潟大学 医歯学総合病院 魚沼地域医療教育センター 特任准教授の赤坂圭一先生にお越し頂いて、直接ご指導いただきました。(本当にありがとうございました!)
今回は初回ということで左側を洗浄。合計15L、2時間程かけて無事、処置を終えることが出来ました。(回収率98%と非常によい結果となりました)
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洗浄後の廃液ボトルです。少し沈殿してわかりにくいですが、 教科書で見るようなグラデーションになりました。 |