2015-12-29

たかが気胸、されど気胸 〜再膨張性肺水腫は防げるか?〜

ある再膨張性肺水腫の患者さんとの出会いから、今更ですが気胸のマネジメントについて、少し踏み込んでまとめて見ました。

Common diseaseでありながら、各施設により治療方針が異なることも多いですので、まずはガイドラインをざっと、おさらい ↓  

気胸のガイドライン

3つあります。

・ACCPによるガイドライン(Chest 2001)
・日本気胸・嚢胞性肺疾患学会によるガイドライン(2009年)
・BTSによるガイドライン(Thorax 2010)

面白いことに、各ガイドラインごとに重症度の評価基準が異なっています。

・ACCP:small=胸郭頂部から肺尖までの距離が3cm未満、 large=3cm以上
・気胸学会:軽度=肺尖が鎖骨より頭側、中等度=軽度と高度の中間
                        高度=全虚脱又はこれに近いもの
・BTS:small=肺門の高さで、壁側胸膜〜虚脱肺胸膜までが2cm以下、large=2cmを越える

Kircherの虚脱式というのもありますが、肺が立体であることを考えるとナンセンスで、Light indexの方が理にかなっているようです。

どの種類、どのサイズのチューブを用いるか?

さて、軽症では、気胸が進行しなければ穿刺吸引や持続ドレナージは不要。これはよいですね。

中等症以上では、若干方針が異なるようです。tension pneumothoraxの場合、持続ドレナージを要することは、どのガイドラインも異論はなさそうですが、推奨するチューブ径が異なります。

・ACCP:通常は14F以下か、16-22Fを使用
                  臨床的に不安定(air leakが多い、陽圧を要する)な場合は、24-28Fを用いてもよい
・BTS:8-14Fを使用、太径のチューブは必要ない 

ただし、注目すべき点として、BTSでは、仮にlarge pneumothoraxであっても、1st choiceは、

14-16Gの穿刺吸引、改善なければ穿刺吸引を繰り返すことはせず、持続ドレナージへ
(エビデンスレベルA)

穿刺吸引の目安は、引けなくなるまで吸引し続け、最大で2.5Lまでと。なぜなら2.5L以上引ける時は、air leakが続いているであろうからと。(途中で本当に大丈夫かと心配になりそうですが…。)
穿刺吸引に関するRCTは小規模ですが多数あり、meta-analysisによると、いずれも持続ドレナージと成功率は変わらないとされます(30-80%)。(Respir Med 2004;98:579-90, Ann Emerg Med 2008;51:91-100)

needle aspiration(Ann Emerg Med 2008;51:91-100) 

ちなみに、当院はどうしているかというと、中等症以上には、16Fのトロッカーを使用し、よほどの社会的事情がない限りは安全を期して入院で管理しています。施設によっては、アスピレーションキットやソラシックエッグ、ソラシックベントを用いて、外来で管理することもあります。

再膨張性肺水腫の頻度とrisk facterは?

ところで、治療に際して、急激な再膨張後に24時間以内に起こるとされる、再膨張性肺水腫(reexpansion pulmonary edema:RPE)に注意する必要があります。個人的にも、これまでに数回は経験していますが、実際のところ、頻度はどれくらいでしょうか。

Matsuuraらによると、14%(21例/146例)。そのうち、高度で17.4%、緊張性気胸でなんと44.4%とありました(Chest 1991 Dec;100:1562-1566)。

一方、胸水ドレナージの場合(Ann Thorac Surg 2007 Nov;84:1656-1661)、
1L以上排液しても(なかには3L以上排液した症例もありましたが…)
・radiological RPE  発症率 2.2%
・clinical RPE  発症率 0.5%        
と気胸に比べて頻度は少ないようでした。

気胸におけるRPEのrisk facterは、①虚脱率が大きい、②発症から3日以上、③若年(?)、などが挙げられています。

よって我々は、RPEの発症を予測することが出来ます。そして、実際、危険性が高い症例には、最初から陰圧をかけることはせずwater sealで管理しています。しかし、完全にはRPEの発症を避けることは出来ません。

胸水は、排液量が「見える」ので分かりやすいのですが、気胸の場合、「見えない」ので、たとえwater sealだったとしても陰圧をかけないよりは「マシ」というだけのことでしょう。

とはいえ、
・中等症以上では、まずは、穿刺吸引を試し、1回で吸引し過ぎない
・ドレナージチューブ留置する場合は、なるべく細径を選択する
・ドレナージ後、レントゲンで再膨張の程度を確認するまでクランプしておく
   (特に、ドレナージ中に咳嗽出現した場合は、RPE発症を念頭に置く)

など、いくつか対策はありそうです。

治療について 

24-48時間以内に自然軽快に向かう病態のため、対症療法でしのぎます。

具体的には、これがすべて ↓

・酸素投与
・陽圧換気(重症例)

NPPV管理でしのげることも多いですが、時にIPPVが必要になります。患側のみの発症であれば、肺コンプライアンスの左右差や分泌物の健側への垂れ込みを懸念して分離肺換気が有効とされます。ただ、しばしば両側性となり得ます。

虚脱肺への再還流に伴う毛細血管内皮障害が原因の一つとされており、血管透過性の亢進に対して、ステロイド、エラスターゼ阻害剤、利尿剤が使われることもありますが、controvertialです。特に、下記に述べるように利尿剤は病態を悪化させることがあるため安易な使用は慎まなければなりません。
活性酸素の抑制にCOX2阻害薬が有効という報告もあり、ドレナージの1時間前に投与すると予防できるとも…。

hypovolemic shockに注意 

呼吸器管理だけが注目されがちですが、実は、循環管理も忘れてはなりません。

小林らの報告によると、頻脈、低血圧、血液濃縮が起こるとされ(日胸外会誌 1983;31:940-7)、間質や胸腔内への血漿成分の移行により、hypovolemic shockを来たした症例報告も散見されました(日集中医誌 2007;14:61-64、日臨外会誌 2014;75(1):68-72)。

古い文献では、死亡率は何と20%にも及ぶと報告されています(Ann Thorac Surg 1988 Mar;45(3):340-5)が、これにはhypovolemic shockの関与も大きいのではないかと推測されます。さすがに、現代の医療では、もうちょっと死亡率が低いと思いますが…。ただ、死に得る病態であるという認識が重要だと思います。


✳︎その他の参考文献

Respiratory Med 2015;14:10-12
呼吸 2013;32(4):307-316
日集中医誌 2007;14:6-7




1 件のコメント:

  1. 過去3年間のHiv病、特に苦痛で食べ難い、咳が悪夢、特に1年目この段階では、免疫系は著しく弱まり、日和見感染症にかかるリスクははるかに大きくなります。ただし、HIV感染者全員がエイズを発症するわけではありません。私は早期死亡を避けるためにARVを服用し始めましたが、いつか癒されると神に信じていました。Hivの特許として、チャンスを減らすために抗レトロウイルス治療を受けることをお勧めします。ウイルスを他の人に感染させることについて、数週間前、漢方薬によるHiv治療に関する情報が得られるかどうかインターネットで検索しました。検索で、Hivから癒された人の証言を見ました。彼女の名前はAchima Abelardでしたそして、他のヘルペスウイルスの特許であるTasha Mooreも、この同じ男性について証言しています。DrItua Herbal Centerと呼ばれます。私は証言に感動し、彼のEmail.drituaherbalcenter@gmail.comで彼に連絡しました。私たちはおしゃべりをして、彼が私に命じた薬草のボトルを私に送った。彼が私に指示したとおりに飲んだ。薬。私は彼に永遠に感謝しています。Drituaherbalcenter。ここで彼の連絡先番号+2348149277967 ...彼は、彼が次の病気を治すことができると確信しています。緑内障、脳腫瘍、乾癬、白内障、黄斑変性、心血管疾患、慢性下痢、肺疾患。前立腺肥大、骨粗鬆症。アルツハイマー病、
    認知症。 、膀胱がん、自閉症、大腸がん、乳がん、腎臓がん、白血病、肺がん、乳がん、非ホジキンリンパ腫、皮膚がん、ループス、子宮がん、前立腺がん、発作、線維筋痛症、ALS、肝炎、Copd、Parkinson病気。遺伝性疾患、線維異形成症、進行性線維異形成症、フルオロキノロン毒性症候群、脳卒中、Hpv、弱い勃起、肝臓/腎臓炎症、男性/女性不妊症、腸疾患、ハンチントン病、糖尿病、子宮筋腫。

    返信削除