2019-08-20

抗結核薬の髄液移行


結核性髄膜炎の治療に携わることがあったので、抗結核薬の髄液移行について覚書としてまとめておきます。以下、日本神経治療学会からの標準的神経治療;結核性髄膜炎(標準治療 2015;32(4):513-532)より抜粋です。



結核性髄膜炎の標準治療は2HREZ+10HRです。

しかし、薬剤アレルギーや肝障害などの副作用が生じた場合、あるいは耐性結核の場合には、代替薬を用いることがあります。特に、INHRFPが使えない場合は、second-line drugのうち、出来るだけ髄液移行率のよいLVFXの使用が推奨されています。



参考までに各薬剤の髄液移行率を表にしました。




薬剤名
髄液移行率
First-line drugs(a)
RFP
10-20

RBT
本文中に記載なし

INH
80-90

PZA
90-100%
First-line drugs(b)
SM
10-20%

EB
20-30%
Second-line drugs
LVFX
70-80%

KM
10-20%

TH
80-90%

EVM
本文中に記載なし

PAS
No deta

CS
80-90%
Others
LZD
40-70%



多剤耐性肺結核に適応のあるデラマニドは肺外結核に適応なく、髄液移行性についてもデータがないため使用は出来ないことに注意が必要です。