今回は初回ということで左側を洗浄。合計15L、2時間程かけて無事、処置を終えることが出来ました。(回収率98%と非常によい結果となりました)
洗浄後の廃液ボトルです。少し沈殿してわかりにくいですが、 教科書で見るようなグラデーションになりました。 |
ちなみに、この「肺胞を洗う」、という治療法はいつから登場したのかというと、1960年に「segmental flooding」としてRamiezらが紹介したのが最初のようです。(awakeで気管支内腔に盲目的に生食を注入。毎日複数回、2-3週間、異なる肺葉に注入されるよう体位変換して行ったとありました…。何とも恐ろしい…。これにより咳嗽発作が起こり白濁した粘性の痰が喀出され、診断もかねての治療が出来たとのこと。) (P R Health
Sci J. 1992
Apr;11(1):27-32)
1964年には「Bronchopulmonary lavage in man」というタイトルで3Lの生食で局麻下全肺洗浄を初めて施行したと報告(Ann Intern Med. 1965;63:819–828)。その後、より安全で効率のよい方法になるよう修正を重ねながら、現在に至るまで肺胞蛋白症の標準治療として行われています。全肺洗浄が有効な理由ですが、マクロファージが処理できずに蓄積してしまったサーファクタントを物理的に排除する、という単純な機序だけではなさそうです。なぜなら、洗浄後に対側の陰影も改善することがあるからで、その理由は良く分かっていません。
尚、病因として1994年にGM-CSF抗体の関与が判明してからは、GM-CSF製剤の吸入療法が試みられています。本邦で自己免疫性肺胞蛋白症に対して行われた多施設第Ⅱ相試験では奏効率62%と良好な成績を上げています(Am J Respir Crit Care Med. 2010;181:1345-1354)。GM-CSF吸入無効例は、末梢気腔にサーファクタントが貯留しGM-CSFの到達が妨げられている可能性があり、全肺洗浄後に吸入を行うことで効果が得られたという報告もあります(日呼吸会誌 2009;47(9):833-838)。しかしながら、現時点ではGM-CSF吸入は未承認です。
最後に、今回の手技にご協力いただきましたすべてのスタッフの方々に深謝致します。
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返信削除肺胞蛋白症の治療はやってますか?
返信削除肺胞蛋白症治療可能ですか?
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