2015-08-23

悪性腫瘍と高Ca血症

今週末は、上司が佐賀に旅行、...いや、失礼しました、出張(呼吸器内視鏡インターベンションセミナー)に行っており、うらやましい限りです。
 
このセミナー(http://www.jsre.org/gakujutu/inter2.html)、過去の開催地を見ると、毎回温泉旅館で開催されているようで、今回のテーマは、『茶心の宿にてpulmonary Intervention Techniqueについて語り合う』ですので、昨夜は大いに語り合われたことでしょう。
 
それはそれとして、久々に、ブログを更新することにしました。

最近、肺癌の患者さんにオピオイドを開始して、吐き気や便秘が出現。てっきりオピオイドの副作用だと思っていたら実は高Ca血症も隠れていた…ということがありまして。足元をすくわれることがあるので、悪性腫瘍の患者さんをみるときは、高Ca血症を常に頭の片隅に入れておくことが大事ですね。ちょこっと知識の整理です。
 

悪性腫瘍の経過中、20-30%に高Ca血症を合併するとされています。
 
Ca血症の原因として
 
LOH(local osteolytic hypercalcemia)
HHM(humoral hypercalcemia)
1,25(OH)2 D-secreting lymphomas
ectopic hyperparathyroidism

があり、③④はそれぞれ1%以下と非常にまれ。①の頻度は20%、多発性骨髄腫や固形癌の骨転移による広範な骨破壊を伴っており、破骨細胞の骨吸収の刺激で生じます。②によるものが最多で(80%程度)、いわゆるPTHrPが分泌されることにより生じます。骨転移は認められないか、あっても軽度。PTHrP産生腫瘍の原因としては、扁平上皮癌(肺癌、食道癌、頭頚部癌)、腎細胞癌、乳癌、ATLなどが挙げられます。


①と②の鑑別は、骨転移の有無、PTHrP上昇の有無が鑑別に役立ちます。
ちなみに、まだ悪性腫瘍が判明する前には、薬剤性や原発性副甲状腺機能亢進症等の内分泌疾患あるいは家族性疾患との鑑別が必要ですので、血液ガス、尿中Ca濃度、活性型VitD測定などが必要になります(鑑別は成書に譲ります)。

Ca血症は予後不良の兆候で、約半数が余命1ヶ月以内と推測されますが、おそらく②が予後不良だからでしょう。①は②に比べると予後は良いです。

Ca血症の症状は12mg/dl以上になると出現します。濃度の上昇速度が早ければ症状も重くなります。嘔気、嘔吐、便秘、多飲、多尿などが主であり、気づかれにくいのですが、進行すれば意識障害を来すので注意が必要です。

治療は下記参照。経口摂取量の低下や腎性尿崩症などにより糸球体濾過量の減少が認められており、それに伴いさらに尿細管でのCa排泄が低下しているため、まずは生理食塩水による補液を十分に行い、糸球体濾過量を確保することが大切です。

ビスホスフォネート製剤は、投与から2-4日で効果発現が見られ、60-90%の患者で4-7日以内に血清Ca値が正常化するとされますが、PTHrP産生腫瘍の場合は、再発しやすく、再発した場合は、ビスホスフォネートへの治療反応性が段々悪くなります。
 

reference: Hypercalcemia associated with cancer(NEJM 2005;352(4):373-379)

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