2015-08-08

抗酸菌の血液培養



抗酸菌の血液培養というと、HIV患者における播種性MAC症が有名ですが、当然のことながら、血行性感染である粟粒結核診断の際にも活躍します。当院でも最近、粟粒結核を経験したので、血液培養について紹介します。


BATEC(当院で使用のボトル:写真)の必要採取量は1-5ml。好気性の非選択培地で、ボトル中で、微生物が増殖する時の酸素の減少をO2センサーの蛍光量変化として測定し判定をするそうです。抗酸菌だけでなく、真菌も検出出来ます。通常の好気ボトルより真菌を早く検出出来るので(ex. Candida albicansの検出時間は平均26hr)、カンジダ菌血症等の真菌感染症の効果判定時には有用かもしれません。

一方で、Mycobacterium tuberculosisが検出されるまでの時間は、平均で25日と言われており、陽性率も75%程度とされており、万能ではないこと、迅速診断には役立たないため、粟粒結核を疑う場合は、血液のPCRも同時に行うこと、他部位(喀痰、肺、尿、骨髄、肝臓)からの検体採取を並行して行うことをお勧めします。また、裏ワザとして、血液検体に滅菌蒸留水を加え、遠沈しN-acetyl-L-cysteine-NaOHで処理後にMGIT培地で培養するという方法もあるようです(結核検査指針2007)。ちなみに、Mycobacterium aviumの検出時間は平均12日と、結核菌よりも早期に検出されるようです。

0 件のコメント:

コメントを投稿