2019-09-10

尿毒症性胸膜炎 まとめ

過去にで行われた局所麻下胸腔鏡施行例を見直していたところ、除外診的にこの疾患と診された症例が意外に多いことが判明しました。疾患名を聞くと、ああそうか、となんとなく理解したようなになりますが、知っているようで知らない疾患だったので、簡にまとめておこうと思います。

尿毒症性胸膜炎 Uremic Pleuritis

長期透析患者の3.2-16%にみられる。

機序:
尿毒症に伴う凝固因子、血小板、血管壁などの機能障害
リンや尿毒素物質などの小分子毒素
免疫複合体の沈着による炎症で胸膜の血管透過性亢進
透析に伴う抗凝固使用による胸膜の易出血性 
 などが考えられているが不明な点も多い。

基準はなく、除外診
特に透析患者においては、結核の除外は重要。
慢性腎不全のいずれの病期においても生じうる。

胸水の性は、肉眼的には淡血性~血性で、出性胸水。
胸腔鏡では、肉眼的に壁側胸膜の白色胸膜肥厚、フィブリン生を認める。
病理組織像は、線維素性胸膜炎。

治療:
透析しく設定すると胸水コントロれたという報告と特にがなかったという報告と両者ある。
一般的には、体液量の調整をしっかり行い、かつ、胸水の穿刺排液を行うことで80%の患者は良好な予後が得られる。また、透析中の抗凝固(ヘパリン→メシル酸ナファモスタット)を行った症例や胸膜癒着術を施行した症例もある。
・ただし、胸水が貯留して長期経過すると、胸水ドレナージしても肺の再膨張が得られず再貯留する。
難治性の場合、ステロイドが奏功したとする報告も。(ステロイドが胸膜の炎症を改善させ、血管透過性が改善し胸水が循環血漿中に移行した) 他には、胸膜剝皮術が奏功したという報告もある。