近年、注目を集めている肺エコー。当科でも使用しているのですが、今ひとつ用語が頭に定着しないので、個人的な備忘録を兼ねてまとめてみました。
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A-line:プローブと胸膜の間で反響したエコーが映し出された多重反射像。やせている患者では正常肺でも見られる。しかし気胸患者の場合、プローブと空気との反射が起こりより顕著に見られる。また肺気腫、喘息など過膨張となる疾患で描出されることがある。
B-line:臓側胸膜から縦に放射状に延びて深部まで届くアーチファクト。健常者でも1画面に1本程度は認めることがあり、3本以上あれば病的。肺実質に水分を多く含む肺水腫で見られる。
comet tail:胸膜ラインから内側に延びるアーチファクト。
lung sliding:Bモードで臓側胸膜が呼吸運動で動く様子。正常の場合に観察される。臓側胸膜の動きはcomet
tailを目安にすると観察し易い。
seashore sign:lung slidingの様子をMモードで観察した際に、胸膜以下は粗い均一なノイズが入ったように見える。
lung pulse:心拍が胸膜に伝わり、心拍に同調して胸膜が小さく水平方向に振動している様子。正常の場合に観察される。lung slidingがあると分かりづらいため、呼吸を一時的に止めてもらうと見やすくなる。
pleural sign:胸膜から発生する3つのサイン(lung pulse、lung
sliding、B-line)をまとめてこう呼ぶ。pleural
signがあれば気胸は否定的。
lung point:正常肺と気胸背の境目。気胸の範囲の推定に使える。
stratosphere sign (barcode sign):Mモードで見えるはずのseashore
signが見えず、バーコード状の横線だけが見えること。気胸の存在を示唆。
参考文献:「こんなに役立つ肺エコー」メディカルビュー社