2020-01-09

肺放線菌症の画像所見 まとめ

過去の症例を振り返っていたら、歯性感染から血行性にseptic emboliを生じた(かもしれない)放線菌症の症例を見つけたので少し勉強してみました。

ちなみに、通常、肺放線菌症は口腔内のActinomyces を誤嚥することにより発症するとされ、下葉に多いと言われています。ただし、下葉以外の部位の報告もあり、中には、今回の症例のようにseptic emboliの関与が疑われる症例もあります。

放線菌の一般論については省略し、ここでは画像所見についてまとめてみます。

■特徴的な画像所見:

・mass like shadow
          辺縁明瞭な円形陰影および類円形の陰影
          肺悪性腫瘍との鑑別が問題となる
・air space consolidation
・central low attenuation area(LAA)
   縦隔条件で確認する
   上記のmass like shadow、consolidationどちらかに関わらず認められる
   1つの陰影内に複数個認めることもある
・陰影内部もしくは隣接した気管支・細気管支拡張
   cerntral LAAに連続して認めることが多い
・隣接する胸膜肥厚
・葉間を超えた浸潤

■画像と病理との対比

mass like shadow とconsolidationは、気道周囲の肉芽組織と炎症細胞浸潤を反映し、central LAAは、放線菌の菌塊を含む膿瘍に相当する。また、気管支・細気管支拡張は、菌塊によるair-trappingによって中枢側の気管支拡張が生じた結果と考えられる。(日呼吸会誌 2003;41(8):514-521、感染症会誌 2005;79(2):111-116)

■経時的変化について

central LAAと気管支・細気管支拡張像はごく初期には出現せず、一定期間進行した病気で出現する可能性がある(日呼吸会誌 2003;41(8):514-521)とされます。上記のようにこれらが菌塊を反映した所見であれば、菌塊が育ってきてからしか見られないのも納得です。