ちなみに、通常、肺放線菌症は口腔内のActinomyces を誤嚥することにより発症するとされ、下葉に多いと言われています。ただし、下葉以外の部位の報告もあり、中には、今回の症例のようにseptic emboliの関与が疑われる症例もあります。
放線菌の一般論については省略し、ここでは画像所見についてまとめてみます。
■特徴的な画像所見:
・mass like shadow
辺縁明瞭な円形陰影および類円形の陰影
肺悪性腫瘍との鑑別が問題となる
・air space consolidation
・central low attenuation area(LAA)
縦隔条件で確認する
上記のmass like shadow、consolidationどちらかに関わらず認められる
1つの陰影内に複数個認めることもある
・陰影内部もしくは隣接した気管支・細気管支拡張
cerntral LAAに連続して認めることが多い
・隣接する胸膜肥厚
・葉間を超えた浸潤
■画像と病理との対比
mass like shadow とconsolidationは、気道周囲の肉芽組織と炎症細胞浸潤を反映し、central LAAは、放線菌の菌塊を含む膿瘍に相当する。また、気管支・細気管支拡張は、菌塊によるair-trappingによって中枢側の気管支拡張が生じた結果と考えられる。(日呼吸会誌 2003;41(8):514-521、感染症会誌 2005;79(2):111-116)
■経時的変化について
central LAAと気管支・細気管支拡張像はごく初期には出現せず、一定期間進行した病気で出現する可能性がある(日呼吸会誌 2003;41(8):514-521)とされます。上記のようにこれらが菌塊を反映した所見であれば、菌塊が育ってきてからしか見られないのも納得です。