結核性髄膜炎の治療に携わることがあったので、抗結核薬の髄液移行について覚書としてまとめておきます。以下、日本神経治療学会からの標準的神経治療;結核性髄膜炎(標準治療 2015;32(4):513-532)より抜粋です。
結核性髄膜炎の標準治療は2HREZ+10HRです。
しかし、薬剤アレルギーや肝障害などの副作用が生じた場合、あるいは耐性結核の場合には、代替薬を用いることがあります。特に、INHやRFPが使えない場合は、second-line
drugのうち、出来るだけ髄液移行率のよいLVFXの使用が推奨されています。
参考までに各薬剤の髄液移行率を表にしました。
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薬剤名
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髄液移行率
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First-line drugs(a)
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RFP
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10-20%
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RBT
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本文中に記載なし
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INH
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80-90%
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PZA
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90-100%
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First-line drugs(b)
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SM
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10-20%
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EB
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20-30%
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Second-line drugs
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LVFX
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70-80%
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KM
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10-20%
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TH
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80-90%
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EVM
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本文中に記載なし
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PAS
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No deta
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CS
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80-90%
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Others
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LZD
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40-70%
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多剤耐性肺結核に適応のあるデラマニドは肺外結核に適応なく、髄液移行性についてもデータがないため使用は出来ないことに注意が必要です。