2017-05-20

緩和ケアチームでの研修を終えて


当院では緩和ケア病棟がありません。しかし、癌患者さんは大勢入院されるため緩和ケアのニーズは高く、腰を据えて緩和ケアを学ぶため当科スタッフが1か月半の研修を行いましたので研修報告をさせていただきます。

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21日から一か月半、埼玉県立がんセンター緩和ケアチームで研修してきました。大宮の北約10kmにある503床の県がん診療連携拠点病院です。36床の緩和ケア病棟がありますが、主には院内の他病棟他科に入院中の患者を対象とする緩和ケアチームの活動に参加しました。緩和ケアチームは緩和ケア科上級医1名とレジデント1名、看護師3名、薬剤師1名が主なメンバーです。そのうちの医師2名と看護師1-2名で日々のチームラウンドを行っておりました。


チームを率いる余宮先生は、緩和医療学会のがん疼痛薬物療法ガイドライン作成委員会副委員長を務められ、特に鎮痛補助剤に造詣が深い先生です。緩和ケアに関する著作も多数あり、看護師やコメディカルスタッフにも役立つ内容となっております。




緩和ケアチームは毎日回診ができる体制で、薬の処方等も自ら行う直接介入型の診療を行っていました(当院は週2回の回診、直接処方を行わない推奨型です)。毎朝30名前後の継続診療中のカルテを確認し、回診を要する症例を選び10名前後を回診、さらに新規紹介患者15名程の初回診察を行いました。ベッドサイドに行く前にナースステーションで病棟看護師を含めて議論し、ある程度のプランを立てた後診察に向かいました。初回診察時には椅子を持参して、じっくりと問診をすることから始め、身体症状だけではなく、抱えている不安やつらさも伺ってくることもありました。薬剤師はラウンドへの同席はありませんが、必要時には電話相談し、特殊な薬剤の開始に際しては患者への説明等を行っていました。私はこの一か月半で79例の症例を経験し、毎日回診することで薬やチーム介入の効果を実感することができました。

 この研修で多くのことを学びました。その中のひとつを述べると。皮下注や静注で薬剤を使用する場合にはレスキュー量を1時間量としていましたが、1時間量では症状コントロールに足りません、その2-3倍量程が必要になります。レスキューは効果がなければ意味がなく、レスキューの効果と副作用を日々確認し、適切な量を設定することが大切です。そのためには看護師の詳細な観察と評価が必須と感じました。

今回の研修に出向けたのは、快く研修を引き受けて下さった埼玉県立がんセンターのスタッフの皆様と、送り出してくれた呼吸器内科をはじめとする院内の様々なスタッフのおかげです。改めて感謝するとともに、今回得た知識と経験を多くの方に恩返しできるよう努力する決意を新たに大垣に戻りました。



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