・内頚静脈に生じた化膿性血栓性静脈炎は、Lemierre症候群としても知られている。(咽頭炎や扁桃周囲膿瘍、歯性感染に引き続き生じる。)
・カテーテル血流感染の約7%に合併し得る。カテーテル血流感染で有効な抗菌薬開始72時間以降も血液培養が持続陽性の場合は疑う必要あり。
・臨床徴候:
典型的には悪寒を伴う39℃以上の発熱。静脈に沿った発赤、熱感、圧痛。敗血症性肺塞栓や肺膿瘍、膿胸を生じれば呼吸器症状を伴う。97%に敗血症性肺塞栓を認めた、という報告あり。(Medicine. 1989;68(2):85. Postgrad Med J. 1999;75(881):141. )
・原因菌:
Lemierre症候群の場合、最も多いのがFusobacterium necrophorum。
他には、Eikenella corrodens、Porphyromonas asaccharolytica、Streptococcus pyogenes、Bacteroidesなど。
カテーテル血流感染では、Staphyrococcus aureus、CNS、など皮膚の常在菌が多い。他、腸内細菌やカンジダも。
・診断:
USや造影CTで血栓を証明し診断する。
・抗菌薬治療:
Lemierre症候群を疑う場合はエンピリカルにSBT/ABPC or TAZ/PIPC or カルバペネムを開始する。カテーテル血流感染ではエンピリカルにVCMの使用を考慮する。培養結果に従い狭域抗菌薬に変更する。臨床的に効果が認められるまで(肺内病変がある場合はCT画像で消退するまで)、治療を継続すべき。一般的には、少なくとも4週間は必要。2週間点滴投与した後に、経口薬にスイッチすることは可能。
・抗凝固療法:
比較試験がなくcontroversialであるが、適切な抗菌薬治療を行っても血栓が増大する場合は、検討する。(Postgrad Med J. 1999;75(881):141.)
参考:up to date "Suppurative thrombophlebitis"
感染症プラチナマニュアル