岐阜地域のLung Cancer Workshopということで、
堀Drより当院のre-biopsy(再生検)の現状について発表してもらいました。
先行する第1,2世代EGFR-TKI治療中に対して約半数に耐性遺伝子T790Mが出現し得ることが長らく問題になっておりました。2016年5月よりT790M変異陽性肺癌に対しても有効な第3世代EGFR-TKIであるOsimertinibが発売となりました。Osimertinibの登場は、得られる効果や臨床検査のあり方において、Gefitinibのそれと同じようなインパクトを与えました。そして、我々呼吸器科医には予後に直結するT790Mの有無を可能な限り検索すること、即ちre-biopsyが課題の一つとなりました。
re-biopsyは初回診断時のbiopsyとやや異なる点があります。治療介入後の病変のため、繊維化しており細胞成分が採取しづらいということ。そのため、大きなサンプルを採取する工夫、細胞が「取れそうな部位(PETで集積し動きのありそうな病変)」を見極めアプローチする工夫が必要です。
当院でこれまでにre-biopsyを行った20例の内半数以上は原発巣以外、また、2分の3は肺外の病変を生検し9割の症例でサンプル採取に成功しています(その内、約7割がT790M陽性)。体表から確認可能な病変に関してはエコーを活用し出来るだけ自前で生検を試みておりますし、EUSB(EBUSを用いた経食道エコー下生検) もチャレンジしています。
Osimertnibの投与は予後に大きな影響を与えますので、これからも積極的にre-biopsyに取り組んで行きたいですね。
とはいえ、すでにOsimertinibに対する耐性獲得機序もいくつか判明しております(C797S, cMET…) 。分かってはいたことですが、遺伝子領域へ踏み込んだことは肺癌との終わりなき闘いの始まりでもあったわけです。
0 件のコメント:
コメントを投稿