2016-11-26

再発小細胞癌を学ぶ

先日、東海地域の若手のための肺癌勉強会 LUCINA(Lung Cancer Investigator's Network in Tokai)に行ってまいりました。第4回目の今回から岐阜も仲間にいれていただけたようで何よりです。

事前に症例が提示されておりプレゼンターが各自の考えを提示するという形式の勉強会ですが、今回のテーマは再発小細胞癌のレジメン(sensitive relapseの2nd line)について。

そしてありがたいことにプレゼンターを仰せつかりまして、やむなく?小細胞癌のレジメンについて勉強することとなりました。



そもそも、小細胞癌の治療については、呼吸器内科医になったばかりの頃に勉強して以来、じっくり文献にあたるということもなくやり過ごしていました。それもそのはず、この数年間、非小細胞癌の治療については目覚ましい変化がありましたが、小細胞癌に限っては、新規薬剤の登場もなく勉強する必要に迫られなかったのです。

しかしながら、ガイドラインを見直し、文献を紐解いてみると恥ずかしながら意外な発見がいくつもありました。

・sensitive relapseに対して行われているplatinum re-challengeにはエビデンスがない(少なくとも1980年代後半の後ろ向きのデータが元になっているだけ)

・本邦ではあまり用いられないが、NGTには第Ⅲ相試験で有効性が認められている。

・AMRはNGTに対してOSの延長を示せなかった(ACT-1 tral)

・一方、PEI療法はNGTに対してPFS、OSともに有意に延長させた(JCOG0605)


正直、再発小細胞癌のレジメンはre-challengeか、AMRのどちらかしかないと思っていたので、実はその両者ともエビデンスがないとなると…さて、いったい我々はどのレジメンを選択するのがよいのでしょう?

PEI療法やNGTは実臨床ではあまり行われていないのですが(少なくとも市中病院では)、静岡がんセンターの剣持先生と和久田先生にご意見をいただきながら、最終的な治療方針は、ちゃんとエビデンスのあるレジメンを用いましょうという結論になりました。

ただ、PEI療法については、本邦で行われた臨床試験にも関わらず、浸透していないですよね。その理由の一つに血液毒性が強いことが挙げられます。非血液毒性は少ないということでしたので、PSがよく臓器障害のない方には、G-CSFをきっちり使ってPEIをトライしてみるのもありかもしれません。やはり食わず嫌いはいけませんね。

NGTについては、現在供給停止となっているようですので、今後の供給再開を待たなければなりませんが…。

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