少し前のNEJMにAERDのreview articleが載っていたのでまとめました。(NEJM 2018;379(11):1060-70)
これまで、aspirin
intolerance、aspirin idiosyncrasy、aspirin-induced asthmaなどと呼ばれてきた背景があり、今でも日本ではアスピリン喘息(AIA)と呼ばれることが多いですが、最近では、アメリカを中心とした諸外国ではAspirin-exacerbated
respiratory disease(AERD)、欧州や中東ではNSAID-exacerbated respiratory diseaseと呼ばれているようです。
■歴史的背景
・何千年も前から白柳の樹皮から生成されたサリチル酸に解熱・鎮痛作用があることは知られていた。
・1897年にバイエル社がサリチル酸をアセチル化して、より胃腸障害の少ないアセチルサリチル酸を合成、商品名をアスピリンとして1899年より世界中で使用されるようになった。
・1922年、Widalらによりアスピリンにより呼吸障害が引き起こされると報告。その他、NSAIDsでも同様の症状が引き起こされることが判明。
・1967年、Samterらによりには鼻茸、喘息、アスピリンに対する過敏反応を三徴とする疾患と捉えて報告。
■AERDの特徴
・AERDの典型的な症状:
暴露時の症状として、上気道症状(鼻閉、鼻漏、くしゃみ)と下気道症状(喉頭けいれん、咳、喘鳴)。稀に(アナフィラキシーと同様の)胃腸症状(腹痛、吐気)や皮膚症状(紅潮、蕁麻疹)などの随伴症状を認めることも。
また、通常、通年性の鼻閉や鼻漏、嗅覚障害を認める。
・疾患の重症度は様々。(上気道がおかされるだけ~リモデリングの生じた重症喘息や重症な副鼻腔炎を伴うことも)
・アルコール摂取により上述したような上下気道症状が出現する。(特に赤ワインとビール) この機序は不明だが、エタノール以外の何かしらの成分により生じるのであろう。
■原因
・発症年齢は30歳頃(つまり後天的)で、発症原因は不明だが、遺伝的な感受性にウイルス感染や大気汚染などの外的要因が加わって発症するのではないかと推察。(実際、約50%の症例は、ウイルス感染契機に発症するともいわれている。)
やや女性に多い。人種差はない。家族性はない。
・AERDのうち2/3に何らかのアレルギー素因があるとされる。しかしアレルギーが発症に関与しているわけではないとの見方が強い。
■頻度
・メタアナリシスによると、AERDの頻度は、
喘息患者の7.2%
重症喘息患者の14.9%
鼻茸を有する患者の9.7%
慢性副鼻腔炎患者の8.7%
(Rajan JP et al. J Allergy Clin Immunol
2015;135(3):676-681.e1)