2014-07-13

NSCLCに対する分子標的薬 up date

2014年7月9日

吸入指導勉強会と同日に、岐阜で肺癌の研究会があったので私はそちらに参加してきました。

前半のテーマは「チーム医療」。看護師による患者教育についてと、病棟薬剤師の取り組みについてで、県内でも肺癌診療に力を入れている2つの病院から発表がありました。

後半は、九州大学 呼吸器科の岡本勇先生による、「NSCLCに対する分子標的薬のエビデンス」に関しての講演会でした。コメディカルの方も多かったせいか、臨床試験のデータを噛み砕き、わかりやすい言葉にしてお話してくださったので、非常に好評でした。

気になった話題を書き留めます。



①JO25567試験

Erlotinib vs Erlotinib+Bev for TKI mutant

BeTa Lung試験の結果を受けてErlotinib+Bevの効果を前向きに検討するため行われた、今年のASCOで注目された臨床試験の一つ。
Erlotinib単独の奏効率は64%に対してBev併用群は69%。
Bev併用群は、PFSを6.3ヶ月(9.7ヶ月vs16ヶ月)延長させた。

奏効率の違いの割にPFSの延長が著しかった理由としては、血管新生阻害薬により腫瘍内のTKIの濃度が上昇し一旦縮小した腫瘍の再増大までの時間を引き延ばすことが出来たからと考えられた。
Erlotinib+BevがPFSを大幅に延長する可能性があると考えられるが、あくまでPhaseⅡstudyであり、この結果から、即、EGFR遺伝子変異陽性患者の1st lineとしてErlotinib+Bevを使用するということにはならない。

②Alectinib承認

第二世代のALK阻害剤としてALKに選択性の薬剤が登場、奏効率94%!
選択性が高いため副作用も少ない。
AlectinibはCrizotinib耐性のALK肺癌にも有効とされている。
ただし、ALK転座陽性と診断する根拠として、FISHとIHC伴に陽性を示さなければならず、そこがネックとなりそう...。

以上、簡単にまとめてみました。
Alectinibは非常に有望な薬剤ですが、肺癌全体の5%と、使用できるpopulationが少ないのが残念ではあります。ただし、次々と新規の分子標的薬の開発が進んでおり、今後が楽しみです。

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