2015-06-20

COPDと栄養療法

6月は学会シーズンですね。
呼吸器内視鏡学会、緩和医療学会などが各地で開催される中、6月13-14日にかけて、名古屋では呼吸器学会 東海地方会が行われました。
初日のイブニングセミナーでは、当院 安藤部長による『COPDの栄養療法』についての教育講演がありました。


 
呼吸器内科の分野では、栄養療法が講演テーマになることは比較的少ないですよね。
ぱっと思いつく限りでも、COPDに対するプルモケア、ARDSに対するオキシーパくらいしかありません。いずれも断片的な知識で、まとまった話を聞くのは初めてだったかもしれません。

今回の講演は安藤先生が、栄養の総論からclinical questionを織り交ぜた臨床ベースのマネジメントまで、がっつり切り込んでいってくれました。今回は、『サルコペニア(筋肉量の減少)』と、『フレイルティサイクル(Frailty cyckle)』がキーワードでした。

高齢者にみられる要介護状態の前段階を「虚弱=すなわちフレイル」と言うそうなのですが(もともと欧米にあった概念を2014年に日本老年医学会がフレイルと提唱)、フレイルティサイクルの一因にサルコぺニアが関わっていると考えられています。すなわち、COPD患者における筋肉量の減少は、呼吸困難の増強や運動耐用能につながり、ひいては活動性の低下をもたらすと考えられます。その悪循環を断ち切るための一介入方法として栄養療法が注目されています。良質な蛋白質を摂取することによりサルコぺニアの改善が期待できるかもしれません。ただし、COPD患者に生じる低栄養の原因はなにも摂取不足だけではないため 臨床の現場では一朝一夕にはいかないのですが...。COPDに対する栄養療法は、エビデンスの少ない分野ですが、今後さらに掘り下げていく必要性がありそうです。
 
最後に、現在呼吸器ローテート中の後期研修医の先生からも症例発表もありましたのでお伝えしておきます。

膠原病間質性肺炎に合併したTTPの症例(正確にはTTP類縁疾患)でした。血漿交換を必要とした重症例でしたが、将来腎臓内科志望だけに、しっかり勉強してくれていました。N先生、おつかれさまでした!

0 件のコメント:

コメントを投稿