2016-09-22

ERS 2016 in London 3日目

⚫︎9月5日 3日目

この日はSkills Workshopを2コース受けてきました↓ 今回のERSで楽しみにしていたことの1つです。

8:00-10:20     Interventional pulmonology
10:40-13:00   The new frontiers in exercise training in COPD patients; technical aspects

まず、Interventional pulmonologyから紹介します。
これは気管支鏡のセッションですね。日本でも呼吸器内視鏡学会でハンズオンセミナーが開催されていますが、それと同じ形式です。今回は、1グループ 4-5人ですから、日本よりも少人数制でしょうか。

EBUS、EUS(経食道リンパ節生検目的)、ValveとCoil(Volume reduction目的)の4つをこなしました。
適応や合併症については、事前資料で学んでおいて、ここでは主に手技を解説してもらいながら、一人一人実技練習を行いました。 特にValveとCoilは、見るのも触るのも初でしたので、とても楽しめました。いずれも手技としてはさほど難しいものではなく(というと大御所の先生方から怒られそうですが)、どちらかというと適応の判断と、閉塞部位の決定方法が大切だと思われました。あと、気胸や喀血などの合併症にも注意しなければなりません。

Valve:これを気管支内腔に挿入します


また、EBUS-TBNAについても慣れ親しんだ手技ですが、日本と海外では手技に違いがあることを知り驚きました。(穿刺時にシリンジで吸引を行うかどうかという点で、日本以外の国では吸引はしていないそうです...日本は少数派だったんですね。吸引ありvsなしのRCTで診断率に有意差なし→Chest 2012;142(3):568-73。でもがっつり取れる感じを求めてやっぱり吸引してしまいそうですが...)

EUSについては、胃カメラを用いた方法で観察方法、リンパ節のオリエンテーションを教えてもらいました。穿刺針も太く我々呼吸器内科医にとっては、やや侵襲的で実際行うには尻込みしてしまいます。胃カメラの代わりに気管支鏡を用いたEUSBなら行えそうです。むしろEBUS-TBNAよりも低侵襲ではないかと思ってしまうほどですね。今年度より当施設でも取り組んでみたいと思っております。

次にThe new frontiers in exercise training in COPD patients; technical aspectsについてです。運動療法についての新しい取り組みについて学んで来ました。重症COPD患者にいかに運動療法を行うか、NIVを用いた運動療法、水中での運動療法(aquatic physiotherapy, hydrotherapy)などです。

NIVを用いたリハビリは日本でも行っている施設はありますね。当院ではやってませんが。CPAPやPSをかけることで、末梢筋組織への血流が保持され、乳酸産生を抑制し運動量を増加することが出来ます。ただし、EPAP低めでIPAP(PS)を高めに設定するのがよいのか、EPAP高めを目指すのか、報告も様々で適正圧の設定が難しいと思われました。dynamic hyperinflationを抑えるにはEPAPは少し高めの設定が良さそうですが。
また、それとは別に、運動直後の呼吸困難を和らげるためのhandyタイプのNIVの紹介もありました。(こんなのあるんですね!って、ただ、使い道が限られますが…)

NIVをカートに乗せて、患者さんが歩行します
水中トレーニングについては、シドニーの医療機関から紹介でした。オーストラリアでは、水中トレーニングのガイドラインもあるそうです。水圧による胸郭圧迫、呼吸仕事量増加が心配なところですが、一方で水圧によりcentral hypervolemiaが起こり心拍が抑えられるメリットもあります。Borg 3-5の軽めの負荷で手足を動かしたりウォーキングをするそうです。膝や関節痛のある方には浮力のある方が動きやすくてよいかもしれません。重症COPDでも酸素投与とモニタリングをしっかりすることで安全にトレーニングが出来るそうです。行える施設は限られますが、面白い取り組みですね。

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