2016-12-31

ペムブロリズマブ承認

今年最後のブログ更新となります。
肺癌の話題にはことかかない一年でありました。
特に、この秋冬は、コペンハーゲンのESMO、次いでウイーンのWCLC、そして博多で肺癌学会と、世界各地で盛り上がりました。

この分野の話題は、免疫療法とEGFR-TKIの一色でした。
(世間では、新薬高騰の話題一色であったとも言えます)
肺癌学会開催中の12月19日にペムブロリズマブが保険承認されたというタイムリーなニュースもありましたね。臨床の現場で使用出来るようになるにはもう少し先ですが、なんと先日発刊された肺癌診療ガイドライン2016には、ちゃっかり記載されていました。

「Non-SqでEGFR遺伝子変異 陰性、ALK転座 陰性、ROS1遺伝子変異 陰性 もしくは不明でPD-L1陽性細胞≧50%の場合は、PS 0-1なら、1st lineでペムブロリズマブ単剤を行うように勧められる(グレードA)」となってますね。

ペムブロリズマブのみならずROS1検索もPD-L1免疫染色もまだまだ臨床の現場では追いついておりませんが 笑

とにもかくにも、ペムブロリズマブの殺細胞性抗癌剤に対する圧倒的な効果の差(mPFS 10.3ヶ月 vs 6.0ヶ月 HR 0.50!, 95%CI:0.37-0.68)が評価に値し、現場で使用可能になってからのガイドライン変更では遅いということでしょう。

TKIの話題は、時間の都合で私はほとんど聴けませんでしたが、来年は、Liquid biopsyが本格始動となりそうです。適応、測定のタイミングと組織診との使い分け、などで議論になりそうです。

一歩ずつ肺癌の「克服」に向かっていると実感しつつ、一方で「医療の進歩が国家を破綻する」という國頭先生の言葉を思い出しました。

果たして来年はどんな年になるでしょう…。

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