2014-11-18

肺癌学会に行ってきました

またまた「学会に行ってきました」シリーズです。
ここのところ、毎週のように、学会やら勉強会やらで関西方面に行っております。
まだこのブログにアップしてない勉強会もあるのですが、それは後日報告とします。
ちなみに、この傾向は来月まで続きそうで週末は、ほとんどないも同然です…

ということで、Alliance for lung cancer -肺がん克服への新たなステップ- とテーマとした第55回肺癌学会が、11月14-16日まで京都で開催されました。私は、初日にポスター発表があったので、ありがたいことに、3日間ともフル出場させてもらえました。

今年の学会では「免疫療法」が大きく取り上げられるようになり、時代の変化を感じました。興味を持ったので学会メモをまとめがてら、勉強したことを紹介します。





T細胞表面上のチェックポイント分子であるPD-1やCTLA-4、および、そのリガンドであるPD-L1を特異的に阻害してT細胞を活性化させることで抗腫瘍効果が得られる治療が免疫療法です。治療薬としては、各々抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体となります。
ご存知のように、メラノーマにおいて、抗CTLA-4抗体であるIpilimumabがOSを延長させたという結果(N Engl J Med. 2010;363:711-23.)が先駆けとなって、他の癌種でも治験が進められるようになりました。免疫療法の面白いところは、殺細胞性抗がん剤やEGFR-TKIなどと異なり、一見PDになったようにみえて(pseudoprogression)もその後、縮小が得られるという
変わった動きを呈するところです。これは、免疫効果が高まったことによる炎症細胞浸潤による陰影の変化ではないかとされているようです。そのため、PDの判定が難しく、RECISTだけではなく、T細胞の免疫応答までの時間を考慮したimmune-related response criteria(irRC)というのが効果判定に使用され時間をかけ慎重にPDと判断しなければならないとのことでした。また副作用も多彩で、内分泌系の副作用(Ipilimumabの場合、下垂体炎)が出るとのことでした。いずれにせよ、免疫療法の効果は、腫瘍局所のリンパ球浸潤の程度やPD-1t等の分子発現割合にも影響されるようです。また、一剤のみでは他の免疫経路を介してエスケープ現象が起こることがあるので、複数の抗体併用療法も考えられているよう。当然のことながら、殺細胞性抗がん剤(CBDCA+PTXとの併用etc...)やEGFR-TKIやALK阻害剤といった分子標的薬との併用も試みられいるよう。応用はいくらでも出来そうで今後に期待です。



ちなみに、15日の夜は、当院呼吸器外科の先生にお誘い頂き、筑波大 診断病理学の野口先生を囲む会に参加させてもらいました。外科の先生方が中心の会でしたが、お酒も入り、なかなか普段聞けない本音も聞けるレアな会でした。

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